「時計修理技術読本」小野 茂・菅波 錦平 共著 発行・東京・大阪・村木時計株式会社より
以下引用



時計のチクタク音はテンプが振動する度に脱進機やその他の部分から出るものである。テンプの一振動の中にいろいろの部分から音が発生する。それは部品と部品が衝突したり、あるいは擦れ合ったりして出る音なのである。部品が動けば衝突や擦れ合いが必ずあるから動く部分全部から音が出ているはずであるが、中でも脱進機から出る音は相当に大きく、はっきり耳にチクタクと聞こえる音の大部分は脱進機から出ているものといえよう。さて、この脱進機の音を分析してみると次のようなものである。動作順に書いてみよう。
(1)テンプが回って振り石がアンクルハコに当たる音。
(2)振り石がハコを押して停止はずしを行い、衝撃に入るときハコのもう一方の部分が振り石に衝突する音、ハコと振り石の間の隙間が大きいほど大きな音が出る。
(3)衝撃終了後ガンギ車が空転してツメ石の停止面に落下するとき激しい衝突があり音を出す。それとほとんど同時ぐらいにアンクルサオがドテピンに当たって大きな音を出す。このときの音が一番大きい。
このほか多くの部分から音が発生するが上述の三つにくらべたら非常に弱いのです。このような音で見える波形としてブラウン管の上に写すと、上図のようになる。



「とけい屋de道草.jp」にあるサンプル音をSoundEngineで波形拡大すると
201305300003.jpg
こんな複雑な波形が観察できます。
振り角を計算するにはこの音の(1)から(3)までの経過時間を把握する必要があります。ところが、スターグラフPC-1のパルスモードは「びぶ朗」のシグナルグラフで見ると
201305300003.jpg
このようにシンプルな信号のみが入力されています。入力される信号に時間の幅はほとんどありませんので大きな信号のみに注目するととても振り角は計算できません。最初は、振り角の算出を諦めました。が、右隣にある消えそうなほど小さな信号。。。に注目して計算をしてみることにしました。まぁそれらしい値が出ているので、これをStarGraphModeとしてみました。
PC-1がどの音をメインのシグナルとしているのか、小さな音はどの音を拾っているのか、馬場さんに確認さえしていませんが、時間の幅等を観察している限り、この二つの信号は(1)と(3)ではないかと推測しています。そしてその推測が間違っていないならStarGraphModeとパルスモードの組み合わせは比較的正確な振り角を表示する手段になると思います。
「びぶ朗」の表示をパルスモードにしなかった理由は、この消え入りそうな小さな信号が、他のパルス化回路でも可能なのかどうかが判らない為です。とりあえず、PC-1ではそれなりに使えそうなことを検証しましたよ。。。と、そういうことなのです。生音モードやアナログアンプでの測定では「StarGraphMode=No」をお勧めします。
ただ、言えるのは振り角の計算はあくまでもおまけです。どんな環境でも信頼できる表示になるかどうかは正直なところ判りません。入力信号に少しでもノイズがあると例えノイズレベルを適切に設定していても振り角の表示は不安定になることが考えられます。今のところ振り角を知る一番おすすめの方法は古典的な方法。。。自分の目で確かめる。。。というやつです。
測定値に対する正確な比較対象(本物のビブログラフとか)がもっと身近にあれば苦労しないんですが。。。そうすると「びぶ朗」の必要性も無いのか。。。(笑)
P.S.
間違いがあればやさしくご指摘ください。

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